
足元で神話が崩れ始めている
長らくCPU(中央演算処理装置)の王者として半導体業界を支配してきたインテル。1990年代から2000年代半ばにかけ、マイクロソフトのウィンドウズと密接に結び付いた「ウィンテル」は、PC業界の事実上の世界標準だった。世界中のPCに「インテル入ってる(Intel Inside)」のステッカーが貼られていた黄金時代だ。
日本の半導体関連企業にとっても、インテルは特別な存在だ。同社のサプライヤーとして成長してきたパッケージ基板大手・イビデンの河島浩二社長は「インテルは育ての親のような存在」と語る。インテルのサプライヤーとして認められることは誇りであり、ビジネスの柱でもあった。このコメントは、多くのサプライヤーの共通認識を代弁しているものだろう。
だが、足元ではその神話が急速に崩れ始めている。
同社が4月24日に発表した2025年1〜3月期決算では、3億ドルの営業赤字を計上。過去最大の26億ドルの赤字だった前四半期からは改善したものの、5四半期連続の営業赤字となった。2024年8月には、全従業員の15%に当たる1.5万人のリストラや配当の停止などを発表している。

急速な業績悪化の要因は、直接的には「ファウンドリー」事業にある。かつてのように自社製品だけを製造するのではなく、他社のチップを受託製造するビジネスモデルで、インテルは21年にこの分野へ本格参入した。各地で最先端工場の建設を進めてきたが、ファウンドリーとしては後発ゆえに巨額の先行投資が膨らんでいる。
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