半導体世界大手・インテルのゲルシンガーCEOが電撃退任した。業績不振が続き復活が見通せないインテルは問題が山積している。
師走に入り衝撃的なニュースが飛び込んできた。半導体大手インテルのパット・ゲルシンガーCEOが12月1日に退任した。
インテル生え抜きのエンジニアとして2009年まで活躍したゲルシンガー氏は、2021年2月にCEOとして同社に戻った。新戦略「IDM 2.0」を掲げて積極的な設備投資を行い、インテルを再び成長軌道に乗せようとしたが業績不振は続き、取締役会から引導を渡されたと見られる。
確かにインテルの業績は厳しい状況が続いている。図1は四半期ごとの売上高、営業利益、研究開発費、固定資産額の推移を示している。ゲルシンガー氏が就任して以降、積極的な設備投資に反し売上高は減少。安定していた利益も低下し、2024年7~9月期には大規模なリストラなどに伴う引当を行い過去最大の赤字となった。この間、工場投資とともに固定資産額は増え、開発も減らすことはせずにアクセルを踏み続けたことになる。
10nm世代の開発遅延を引きずるインテル
これまでのインテルの強みはIDM(垂直統合型デバイスメーカー)として半導体の製品自体の開発と製造技術開発がうまく連動していたことだ。具体的にはチック・タック戦略と呼ばれるものだ。インテルは「nm世代」で表される回路線幅の微細化のようなプロセス開発(チック)と、その世代を維持したまま製品設計を更新するアーキテクチャの開発(タック)を交互に行ってきた。
これによってインテルは製品開発を製造技術の開発ペースに合わせて行うことができ、タイムリーに市場に新製品を投入。この開発ロードマップモデルは2015年の14nmノード世代まではうまく機能していた。
ところがインテルは10nmノード世代のプロセス開発につまずき、それが製品開発のスケジュールにも影響を与えることになった。成長しているデータセンター市場はインテルから新製品がなかなか出てこないことに痺れを切らし、2020年頃からAMDやエヌビディアの製品を採用する企業が増えてきた。
図2はデータセンター部門のインテル、エヌビディア、AMD(部門再定義により2021年より記載)の売上推移である。2023年からのエヌビディアの驚異的な売上もすさまじいほか、2024年7~9月期にインテルはAMDにまで売上を抜かされるところまで追い詰められてしまった。
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