有料会員限定

インテル専用工場を建設中のイビデン社長が吐露「私の中ではインテルが一番だが、ヒヤヒヤしている」→エヌビディア向けはフル稼働の葛藤

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
かわしま・こうじ 1963年生まれ。慶応義塾大学工学部管理工学科卒業後、1987年にイビデン入社。アメリカ子会社、PKG事業本部長、経営企画本部副本部長兼人事部長、電子事業本部長などを経て、2023年4月から電子事業本部長(現任)。2024年6月から現職(撮影:梅谷修司)

特集「半導体 AIブームと"転換点"」の他の記事を読む

「インテルは、イビデンと何か問題があると、すぐに『コージを呼べ!』と。そのくらい彼はインテルからの信頼が厚かった」
インテルで長らく後工程の半導体材料の調達を担っていた元社員は、イビデンの河島浩二社長をこう評する。
半導体製造に使われるパッケージ基板を手がける材料メーカーのイビデン。売り上げに占めるインテル比率は一時期8割近くに達していた、典型的な「インテル銘柄」だった。だが近年、インテルが苦境に陥る傍ら、急増するエヌビディアGPUに使われるパッケージ基板を独占供給。生成AIブームの波に乗り、現在は「エヌビディア銘柄」へと変貌しつつある。
インテルは、イビデンや河島社長にとって「育ての親」そのもの。インテルからエヌビディアへどう経営をシフトしてきたのか。これからのバランスをどう考えるのか。その葛藤を聞いた。

2021年頃からインテルが弱含んできた

――脱インテルが進んでいます。

正直なところ、幸運だった。意図的にインテル向けを下げてエヌビディア向けを上げてきたというより、自然とインテルが少しスローダウンしたところに、エヌビディアが着実に伸びてきたというイメージだ。

幸運だったというのは、一時期はエヌビディアとの取引をこのまま継続するかどうか議論していた時期すらあったから。製造キャパシティが限界に達していて、インテルに振り切るということも真剣に考えていた。

しかし供給の約束をしている以上、限られたキャパシティの中でも細々と対応は行っていた。ほかのサプライヤーは当時勢いのあったインテルのほうに流れていったこともあり、エヌビディア向けで対応できた会社は少なかった。

2021年頃からインテルが弱含んできてキャパシティに余裕が生まれるタイミングで、エヌビディアとの取引が拡大していった。結果的には幸運だったと言える。

――実際に取引をやめたり断ったりした案件もありますか?

多くある。2020年頃にはGAFAMからの依頼も断っていた。

――インテル1社依存への危機感は感じていましたか?

感じていた。ピークでは7割を超えていた時もあり、会社のリスクとしては大きいと。アナリストなど外部からもそういう指摘を多く受けていた。

また、インテルが出してくる製品に、やや弱さを感じていたのも事実だ。2020年以降、インテルの製品は台湾TSMCの先端プロセスを使ったエヌビディアやAMDの製品と比較すると、遅れているのではないかという印象があった。

次ページインテル専用工場を建設中だが・・・
関連記事
トピックボードAD