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企業価値が減ったAIベンチャー・プリファードの覚悟→「5年前と会社の形態変わった」「半導体と生成AIに投資」“打倒エヌビディア”は不変

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おかのはら・だいすけ プリファードネットワークス代表取締役最高研究責任者。1982年生まれ。2006年、現CEOの西川徹氏とともにプリファードインフラストラクチャー創業。2010年に東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了。2014年に当社設立、副社長就任。2021年から現職(撮影:今井康一)

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日本のユニコーン企業の代表格である、人工知能(AI)開発ベンチャーのプリファードネットワークス(PFN)。2016年から自社で半導体開発を進めてきたが、2024年12月に前回の評価額を下回る「ダウンラウンド」で総額190億円の資金調達を実施した。低消費電力のAI半導体開発などに充当する方針だ。創業メンバーで研究開発を率いる岡野原大輔氏に、PFNの現在地と今後の開発方針について聞いた。

「ダウンラウンド」で資金調達

――5年ぶりに190億円の資金調達を行いました。狙いは?

5年前とは会社の形態がガラッと大きく変わった。

以前の事業は、基本的にはAIを使って顧客の課題を解決すること。資金調達も、一緒に事業をやっていくパートナーと提携したうえで行っていた。NTT、トヨタ、ファナックなどだ。

会社として大きく変わっていかなければいけないと考えたきっかけは、ChatGPTで決定的になった生成AIのヒットだった。世界的に、半導体の需要が今までとは比べものにならないほど増え、それを使ってAIモデルを作っていく流れが生まれた。

そこで、これまでメインだったAIソリューションに加えて、それを支える生成AIモデル、クラウドサービスなどの計算基盤、それから半導体チップそのもの、という4つのレイヤーすべてに力を入れるようになった。

新たに立ち上げた3つの領域はまだ投資フェーズ。これからさらに多くの資金が必要になる状況で、今回はそれに向けた資金調達だ。

――結果として、企業価値の評価額を大きく減らす「ダウンラウンド」になりました。

2019年と比較すると、環境も当社の状況も変化している。

まず環境。思い出してみると、2019年当時のAIに対する期待感は、今とは違っていたように思う。自動運転や自律型のロボットがもう数年で実用化されるというような期待感があった。その点では、将来への期待も込めた評価だった。

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