TSMC「ピークはまだ」敵失でAI半導体ブーム独走 ASMLショックが映すインテルとサムスンの"今"

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最先端3ナノ半導体を製造するTSMCのFab 18。2025年後半には2ナノ量産を計画する(写真:TSMC)

AI半導体ブームはバブルに終わるのか、ピークはいつなのか——。

半導体の受託製造企業(ファウンドリー)で世界最大の台湾TSMCは10月17日、2024年1〜9月期の決算を発表した。売上高は前年同期比31.9%増の2兆0258億台湾ドル(約9兆4604億円)、営業利益は同35.6%増の8963億台湾ドル(約4兆1857億円)と、まさに絶好調だった。

半導体不足が叫ばれ業績が押し上げられた2022年時のピークを売上高、営業利益ともに上回り、2023年から続いた反動減による調整局面から完全に復活したと言える(下図)。

AI向けが急拡大

業績を牽引したのは、AI分野の半導体だ。AI向けを含むHPC(High Performance Computing)セグメントが全体に占める割合は、今年4月以降は過半を占めるまでになっている。AI向けに限れば、2024年の売上高は前年比3倍以上にまで急拡大する見込みだ。

AI向けの急激な伸びに比べれば、売上高の約35%を占めるスマートフォン向けの回復は鈍かった。TSMCはファウンドリー業界でシェア6割を握る圧倒的な存在。スマホが多くを占めていた半導体ニーズそのものが、データセンターでのAI向けにシフトしていることを物語る内容だ。

ただ株式市場をはじめ多くの関係者が気にしているのは、「このAI需要はバブルなのではないか」ということ。今はグーグルやアマゾンなど「ハイパースケーラー」と呼ばれる、大手クラウド事業者による巨額の投資で支えられている。だが「果たして巨額投資に見合う収益をAI関連のサービスから生み出せるのか」と、持続性に疑問符が浮かび始めている。

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