北米マツダ「CX-90」に寄せる日本向けへの期待 「CX-80」発売で完成するラージ商品群の真価

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一方で前後方向のパッケージングを見ると、CX-60とCX-90の違いは3列目の有無だけではない。Bピラーまでは共通だが、CX-90は1列目と2列目の間隔が160mm(この数値はCX-5に対するCX-8とほぼ同じ)伸びて足元スペースが広くなっていることがわかる。

CX-60に対して2列目も快適なのがCX-90であり、その特徴は今後、発売されるナローボディの3列モデル、CX-80が継承するのも間違いないだろう。

試乗したCX-90の2列目シートはキャプテンシート仕様(筆者撮影)
試乗したCX-90の2列目シートはキャプテンシート仕様(筆者撮影)
3列目シートも3名がけとなるのはさすがのサイズ感だ(筆者撮影)
3列目シートも3名がけとなるのはさすがのサイズ感だ(筆者撮影)

継承するといえば、「Lクラスミニバンほどではなくても、3列シートSUVでは最大級」という3列目の広さもだ。

多くのSUVの3列目に比べて、床と座面の段差が多めに確保されているから、着座姿勢が優勢なのもCX-8から受け継がれている美点だと感じた。

そして、CX-90の室内を実車で確認して見えてくるのは、CX-80のパッケージングである。おそらく「幅はCX-60と同じで、2列目や3列目の(前後方向の)居住空間はほぼCX-8と同じ」となるだろう。

CX-80の全長はCX-8より長くなり5m弱と見込まれるが、その要因はキャビンではなくボンネットの延長分となるに違いない。

アメリカ人好みの大排気量フィーリング

さて、話を今回試乗したCX-90に戻すと、そのパワートレインは2タイプが用意されている。

1つは日本でも展開している、2.5リッター4気筒ガソリン+モーターのプラグインハイブリッド(PHEV)。もう1つは、日本での設定がない3.3リッターの直列6気筒ガソリンターボだ。マーケットニーズの違いから、日本で主力となるディーゼルは北米には設定がない。

せっかくなので日本にはないガソリンターボに試乗したいところだが、試乗車両のスケジュールの都合で今回はPHEVの試乗となった。

アメリカらしい景色も似合うスタイリング(筆者撮影)
アメリカらしい景色も似合うスタイリング(筆者撮影)

システム出力327psだけあって加速はなかなかのもの。アクセルを踏み込めばグッと力強く車体を前へと押し出し、北米で重視されるフリーウェイへの合流時の加速も安心だ。

エンジンを止めて走る「EVモード」時を除けばモーター感はほぼなく、ハイブリッド走行もモーターなしの大排気量ガソリンエンジンのような、アメリカ人好みのフィーリングに作られていることが伝わってきた。

燃費は1000キロほど走って11.6km/L(スタート時にバッテリーが約9割充電されていたがそれ以降は外部充電なし)。

燃費のいいハイブリッド車を見慣れた日本人からすると物足りない数値かもしれないが、現地の感覚では「V8エンジン並みの動力性能でこれだけ走るのは立派」という判断になるだろう。

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