防衛産業を取り巻く環境は大きく変わりつつある。市場規模の変化と、防衛装備品の単価の変化という2つのマクロ要因が影響している。産業のあり方を常に決定付けてきたこれら2要素の変化は、日本の防衛産業にどのような影響をもたらすのだろうか。
長く続いた市場縮小と価格高騰の歴史
まずは、2要素の変遷の歴史を振り返っておきたい。
市場規模は、国際的な安全保障環境に裏付けられてきた。米ソ冷戦によって拡大した欧米の防衛産業は、冷戦終結による各国国防費の大幅削減により縮小を迫られた。そこに市場競争を業界に取り入れる流れも相まって、アメリカとヨーロッパで企業の集約が進んだ。アメリカでは企業数が減り、残った企業が巨大化。ヨーロッパでは、ナショナル・チャンピオンと呼ばれる主要国の巨大防衛企業や、エアバスやMBDAなどの国をまたいだユーロ・チャンピオンが現れた。
一方、単価は絶え間ない技術進展を背景に恒常的に上昇してきた。そもそも防衛装備品は、研究開発に巨額を要するのに、戦争で使われない限り消費が伸びない特殊な製品だ。特に戦後は、技術進展が性能をより左右するようになり、開発経費が膨張して、単価も上がり続けてきた。そのため、国内需要が大きいアメリカなど一部の国を除き、1つの国で防衛産業を維持することが不可能となった。各国政府や企業は、市場の拡大につながる国際共同開発や、防衛輸出を進めていった。
この、市場規模縮小と単価高騰という2つの要因により、防衛専業の巨大欧米企業が限られた海外市場をめぐって競争を繰り返す環境が生まれていった。
勝つには当然、性能向上が重要となり、技術力に勝るアメリカ企業が市場で決定的な影響力を持った。一方、ニッチな製品や安価な製品を求める市場、あるいは 政治的にアメリカが手を出しにくい中東などの市場では、フランスやイスラエル、韓国などが存在感を示してきた。
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