【判明】「本格空母」導入を防衛省が検討開始か。来年度予算の概算要求の一文に防衛省がにじませた意図とは?

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空母「山東」。同空母は2019年に就役した。7月3日撮影(写真:ブルームバーグ)

今年9月11日、尖閣諸島の魚釣島から北西約200㎞。海上自衛隊のP3C哨戒機が上空から初めて確認したのは、東シナ海を航行する中国の最新空母「福建」の姿だった。

この「福建」は中国にとって3隻目の空母である。2012年就役の初の空母「遼寧」、19年就役の「山東」よりもさらに大型で、戦闘機や早期警戒機などを計60~70機搭載できるとされている。

中国の国防予算はこの30年間で28倍に増えている。その急激な軍拡を象徴する軍事アセットが空母だ。日本の防衛白書(25年度版)によれば「将来的な原子力空母の建造計画が存在するとの指摘もある」という。

空母は「一種の外交手段」

活動も活発化している。24年の1年間に、太平洋で中国の空母から艦載機が発着艦した回数は1200回を超えた。最近は危険な行為も目立ち、今年6月には太平洋の公海上で、日本のP3C哨戒機が、空母「山東」から発艦した戦闘機に距離約45mまで接近された。また、約900m前を横切るような飛行もあった。ほとんど例のない出来事とされ、防衛省・自衛隊が警戒を強めている。

そもそも空母は「航空母艦」の略称で、洋上の巨大な基地のような存在だ。有事の際に戦力投入や攻撃の拠点となるだけでなく、軍事プレゼンスを示して相手に圧力をかける「一種の外交手段」(政府関係者)だとの捉え方もある。そうした極めて強力で影響力の大きい軍事アセットを3隻も保有している事実は、中国の軍事大国化の象徴ともいわれる。

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