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〈SAR衛星の国内2社〉高市総理の誕生濃厚でがぜん注目の「QPS研究所」と「Synspective」、防衛・安全保障予算が宇宙ビジネスを後押しする

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高市早苗・自民党総裁
自民党新総裁となった高市早苗氏。宇宙政策の担当閣僚だったときに日本として初めてとなる「宇宙安全保障構想」が策定されている(写真はJMPA代表撮影)

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前・経済安全保障担当相の高市早苗氏が10月4日の自民党総裁選に勝利したことで、総理大臣への就任が濃厚となった。これを受けて「高市トレード」が活況となっている。

高市氏は財政拡張・金融緩和に積極的とされ、防衛や安全保障を重視する姿勢もみせてきた。その掲げる政策に沿った株式を買ったり、円を売ったりする動きが市場で起きている。

宇宙関連銘柄も動意づいている。総裁選が行われた週末を挟み、週明けの6日に開かれた株式市場では、宇宙スタートアップ各社の株価が軒並み上昇した。

総裁選前の3日と比べてQPS研究所は24.2%高、Synspective(シンスペクティブ)は10.1%高となった。この2社は「SAR衛星」を手がけている。「光学衛星」のアクセルスペースホールディングスは12.9%高、宇宙デブリ(ごみ)除去や衛星の燃料補給等に取り組むアストロスケールホールディングスは15.0%高となった。

常時監視できる特性が防衛活用に有効

これらのうち、とりわけ安全保障・防衛との結びつきがダイレクトなのはSAR衛星の2社だろう。

地球観測用の衛星において、現状の主流は光学衛星のほうだ。宇宙から高精度のカメラを使って写真を撮影するもので、Google Earthをはじめ、さまざまなウェブサービスで活用されている。しかし、雲に覆われるような悪天候時や、暗い夜間時には観測が難しいという弱点がある。

それに対しSAR衛星は、雲を透過する電波を地上に照射して、反射波からデータを取得する。そのため地形や構造物の位置・形状・変化などの情報を、天候や昼夜を問わず取得できる。

この特性は24時間365日、常時の監視が求められる防衛・安全保障分野において非常に有効だ。近年、世界各国で防衛用途でのSAR衛星の導入や実証が加速している。アメリカでは国防総省がSAR衛星のデータを実任務に活用する例が一部で始まっている。

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