航空機に潜むサイバーリスク、現代戦の恐怖攻撃 GPSが「ジャミング」「スプーフィング」の餌食に

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空母艦載機EA-18Gグラウラー電子戦攻撃機
アメリカ海軍の空母艦載型電子戦攻撃機「EA-18Gグラウラー」は、敵のレーダーや通信を妨害するための電子妨害システムを搭載している (画像:Taku / PIXTA)
ロシア・ウクライナ、あるいはイスラエル・パレスチナを巡る戦争は、かつての戦争とは異なり、最先端のIT技術を活用した現代戦の様相を呈している。とくに軍事サイバー戦で大きな役割を果たしているのが、位置情報の利用だ。戦争において位置情報はどのように扱われ、どのようなリスクがあるのか。情報セキュリティを手掛けるラックの研究開発部門である「サイバー・グリッド・ジャパン(CGJ)」のナショナルセキュリティ研究所長で、元防衛省初代サイバー防衛隊長も務めていた佐藤雅俊氏に聞いた。

戦争が起きたら、航空機が真っ先に狙われる

最先端のIT技術を活用して進化する軍事分野で、今大きな注目を集めているのが位置情報の利用だ。とくに全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)は軍事・民事を問わず広く利用されており、中でもGPS(Global Positioning System)は最も普及している。

もし戦争が始まったとき、陸海空の戦力の中で最も影響を受けやすいのは航空戦力だ。制空権を握れば、ほかの兵力も効率的に展開できるからである。では、航空戦力の主役である戦闘機をはじめとした航空機には、どのようなサイバーリスクがあるのか。

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そもそも航空機に対する攻撃には、物理的な破壊、電子戦によるジャミング(電波妨害)、そしてサイバー攻撃がある。元防衛省の初代サイバー防衛隊長でラックCGJナショナルセキュリティ研究所長の佐藤雅俊氏は次のように語る。

「航空機は単独で飛行しているわけではなく、地上とデータのやり取りや交信をしながら飛行しています。そのため、サイバーリスクとしては、まず通信システムが狙われること、次に航空機自体がコンピューターの塊であるため、機内システムのハッキングリスクがあること、さらにはセンサーとデータ収集装置への攻撃が想定されます。一方、地上側でも、航空管制や衛星通信など地上支援システムへのサイバー攻撃が考えられます」

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