航空機に潜むサイバーリスク、現代戦の恐怖攻撃 GPSが「ジャミング」「スプーフィング」の餌食に
「ロシア・ウクライナ戦争では、ロシア軍がGNSS を標的にしたサイバー攻撃を実施したとされています。具体的には、GPSへのジャミングやGPSスプーフィングによる妨害です。
GPSは航空機だけでなく、精密誘導兵器やロケット砲などさまざまな兵器に使われており、ジャミングされれば精度は低下します。しかも、GPSはいくつかの衛星を捉えないと正確な位置情報が取れず、最低でも3~4つの衛星が必要です。
そのたった1つでもジャミングされれば、精度が落ちてしまうのです。またミサイルも、GPSへのサイバー攻撃に遭って効果が低下したとも言われています」
現代戦のサイバー攻撃は、犯罪集団など外部組織も参入
今回のロシア側のサイバー攻撃は、そのうちの少なくとも1つが、世界でまだ1度も確認されたことのない“ゼロデイ攻撃”だったとされている。

「緒戦(戦争が始まった頃)におけるアメリカの報道では、ロシアのサイバー攻撃はたいしたことはないと伝えていましたが、実際には非常に高度な攻撃が行われていました。どちらかといえば、ウクライナがよくしのいだ、と言えるでしょう。サイバー攻撃能力としてはアメリカがトップですが、その次のグループに入っているのがロシアや中国です。ウクライナがロシアのサイバー攻撃をしのげるのは、アメリカの支援があってこそだと考えられます」
現代の戦争において、サイバー攻撃は非常に効果的な手段とされている。
「ロシアではハイブリッド戦争、中国では超限戦とも言われますが、物理的な戦いと併せてサイバー攻撃を行えば、効果も増幅します。アメリカを含め、現代戦においてサイバー空間を利用するのは当たり前となっています」
イスラエル・パレスチナ戦争でも同じようにサイバー攻撃が行われているが、興味深いのは、国だけでなく、匿名でサイバー攻撃を行うアノニマスや、犯罪集団のような、“組織”も参戦していることだ。
「サイバー攻撃では、対峙している国以外にも、影響力を持つ国や影響力を得たい国たちがサイバー空間で攻撃に参加します。そこに、アノニマスや犯罪集団なども入ってくるのです。彼らの目的は、主に金銭や犯罪活動の目こぼしなどの見返りを得ること。戦争になれば、サイバー空間はカオスな状態になります」
では、日本はこうしたサイバー攻撃にどう対応しているのか。現時点では、日本でのGPSに対するサイバー攻撃は見られていないという。
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