航空機に潜むサイバーリスク、現代戦の恐怖攻撃 GPSが「ジャミング」「スプーフィング」の餌食に

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通信システムに対するサイバー攻撃では、通信の乗っ取りや、システムの破壊がある。とくに「GPSスプーフィング」は、偽のGPS信号を送信することで航空機やドローンを誤った位置に誘導する手法だ。また、機内システムのハッキングリスクでは、マルウェア攻撃やソフトウェアの脆弱性を突いた攻撃、航空機の自動操縦システムなどへの干渉が挙げられる。

ロシア軍が行ったとされる「GPS」へのサイバー攻撃

こうした航空機におけるサイバーリスクは、かつては「電子戦」という概念の一部として考えられてきたが、軍事的にサイバー攻撃として認識されるようになったのは、2010年代に入ってからだという。

「サイバー攻撃と電子戦の線引きは難しいですが、一般的に電子戦はセンサーや電波そのものを狙ったもの、サイバー攻撃はシステムを狙ったものだと考えればいいでしょう」

実はあまり知られていないが、GPS(Global Positioning System)は、アメリカ独自の全地球測位システムだ。全地球測位システムは、各国が独自のシステムを運用している。代表的なのものには、GPSのほか、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国のBeiDou(北斗)があり、日本の準天頂衛星システム(QZSS)もGPSを補完する役割を持つ GNSS の一種である。

GNSSの種類

「GNSS は、その名の通り全地球的に測位情報を提供するシステムですが、それぞれのシステムの利用可能範囲や精度には差があります。GPSは世界中で広く使われていますが、例えば、ロシアのGLONASSや、中国BeiDouは、自国や特定地域での利用を主としています。

また、GPSには軍事用と民間用があり、細かい情報は開示されていないものの、軍事用GPSの誤差は数10cm程度とされる一方で、民間用GPSの誤差は数メートル程度あると考えられています」

では、渦中のロシア・ウクライナ戦争では、どのようなサイバー攻撃が行われているのだろうか。

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