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挑戦する社員を後押しする三菱UFJ銀行の人事制度改革、南CHRO「キャリアは自分の意志で選ぶ時代」

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三菱UFJ銀行 CHRO 南宏氏
南 宏 (みなみ・ひろし)/三菱UFJ銀行取締役常務執行役員CHRO。1996年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。営業店・本部勤務を経て2011年人事部。その後、主に人事企画及び運用を担当。2022年執行役員コーポレート情報営業部長、2024年執行役員法人・ウェルスマネジメント企画部長、2025年4月から現職(撮影:今井康一)

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メガバンク各行は、これまでの銀行の常識にとらわれない大胆な人事制度改革を進めている。そこでメガバンク3行の人事担当役員(CHRO)にインタビューし、人事制度改革の狙いと目指す姿について聞いた。今回は、三菱UFJ銀行でCHROを務める南 宏氏だ。

――給与体系の見直しや、総合職とBS職(旧一般職)を統合して1コース制にするなど、人事制度を大きく改定しています。

三菱UFJ銀行の給与体系は、資格(職階)制度と職務制度、つまり「年功」と「椅子(ポスト)のグレード」のハイブリッドになっている。

かつてはどの企業も終身雇用を前提としていたが、もはや長く働くほど偉くなり、給与がもらえる時代ではない。こうした変化に合わせて、まず2019年度に資格給のウェイトを減らし、「何をするか(職務)」によって給与が大きく変動する仕組みに変更した。

当時は「向こう10年間は大丈夫」と思って制度を改定したが、その後の変化が早く、人材の流動性が一段と高まった。当行も環境変化に対応していくため、24年4月にスペシャリスト向けの「エキスパート(Ex)コース」を導入し、25年4月には人事コースを1コース制にするなど人事制度改定を進めた。

1コース制にしたことで、今では誰もが給与差なく「転居を伴う異動がない」働き方を選べるようになっている。これにより、育児や介護などさまざまなライフイベントの中で毎年、勤務地区分の意向を表明してもらい、各自が置かれた状況を人事部が把握したうえで異動を組む人事運営に変更した。

さらに社員主導のキャリア形成や多様なキャリアパスを後押しするため、チャレンジ施策の充実を図っている。こうした人事施策により、自分のキャリアや可能性を突き詰めながら働ける環境になっている。

ジョブチャレンジに毎年2000人超が挙手

――職務やポストを公募する年2回の「ジョブチャレンジ」には毎年2000人以上が手を挙げ、その半数以上が異動の希望をかなえています。

スキルを磨きながら自らキャリアを形成していくうえで、社内公募型のジョブチャレンジは社員にとって重要な手段だ。当行は19年頃から「キャリアは自ら勝ち取るもの」という方針の下で、ジョブチャレンジを拡大してきた。

今は、自らキャリアを選ぶ時代。働き方や職務内容を選択できる機会がないと会社に残ってもらえない。その点、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はグローバルに幅広い業務を展開しており、銀行だけではなく、国内外のグループ企業も含めて幅広い業務にチャレンジできる仕組みになっている。

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