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AIエージェントの登場で銀行員は数年後不要に? 採用増に走る銀行の将来に浮上する課題

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ビジネスパーソンとAIのイメージ
(写真:花火 / PIXTA)

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マイナス金利政策が解除され、好業績に沸く銀行界。行員もさぞ浮かれていると思いきや、行員たちの顔はさえない。人事制度改革によって銀行の常識が覆り、将来が見通しづらくなっているからだ。本特集では銀行員人生の明と暗に迫った。

「この稟議書は次の項目に関する内容が不足しています。次回面談でお客様に確認してください」

まるで上司のように融資担当者へ助言するのは、三菱UFJ銀行が開発中のAI社員だ。各業界の情報や融資業務のすべてを知り尽くしたAIが、稟議書の不備や不足内容を検知し、詰めるべきポイントや交渉条件(担保や金利)なども提案する。一部店舗で試験運用を始めており、来年中に本格運用を始める計画だ。

すでに多くのAI社員が活躍

三菱UFJ銀行が、従来の業務プロセスの制約を超える“AIネイティブ”な企業体になるべく動き出している。すでにシステム部門で多くのAI社員が活躍しているほか、行内のさまざまな事務手続きについて行員の質問に即座に答えるAI社員なども導入されている。社員数に換算して「数十人規模のAI社員を配置済み」(デジタル戦略統括部)だといい、今後あらゆる部署にAI社員を投入していく方針だ。

みずほ銀行でもすでに中小法人の営業支援などを担うAI社員が実用化されているほか、人事や事務、リテール部門などでは業務ごとに「AIエージェントマップ」の作成が進んでいる。これはAIエージェントが「人的資源」として活用される近未来を見据えて、その数や役割、相互関係を可視化する包括的な管理フレームワーク。いわばAI社員の配席図だ。

銀行に限らず、あらゆる業界で「産業革命」が起き始めている。その主役は、自律的に思考・行動し、目的達成(実行)まで完結できる「AIエージェント」。AI社員とも呼ばれるこの新たな労働力は、単なる支援ツールではない。人間と同じように役割を持ち、上司・部下のように共働する「社員の一人という位置づけ」(同)だ。

24時間365日稼働し、人間のように転職や退職をすることもない。非効率な業務も即座に処理し、最適な手順を自ら組み立てて実行する。これにより、課題を抱える業務プロセスがあっても、人間が無理に再設計する必要がなくなるともいわれている。

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