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8年前に“AIの未来が見えていた”アメリカのベンチャー経営者が断言「働き方は根本的に変わる」、仕事を依頼するのは人間ではなくAIになる?

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Aaron Levie/アーロン・レヴィ 2005年、アメリカの南カリフォルニア大学在籍中に現CFO(最高財務責任者)であるディラン・スミス氏と共同でBoxを創業、CEO(最高責任経営者)就任(現職)。Boxは2015年にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場。2013年12月から2021年5月までは会長も兼務(写真:今井康一)
契約書や議事録などの文書や、画像、動画といった会社で利用する多様なコンテンツをクラウド上で管理できるサービスを手がけるアメリカのBox(ボックス)。アーロン・レヴィ氏は2005年、20歳のときに同社を起業した。
そこから約20年でさまざまな技術革新が起こったが、「現在のAIに匹敵するほどの技術進化は見たことがない」という。「働き方自体が変わる」と見る大きな変革の波を自社の成長にどうつなげるのか。レヴィCEO(最高経営責任者)に聞いた。

 

ChatGPTの出現でAI技術は爆発的な成長を遂げた

――前回の東洋経済のインタビュー(2017年)で、AIがいかに人々の働き方や仕事を変えるかをすでに話されていて、それが今現実化していることに驚いています。

そんなに言い当てていた?2017年にはAIの技術進化は右肩上がりに進んでいくと予想していた。が、実際にはわずかに進化した後に停滞し、コロナ禍から2022年ごろまではほぼ下火になった。

ところが、2022年秋にChatGPTが突如として出現し、AI技術は一気に爆発的な成長を遂げた。2017年に私が想定していたものよりも、現在はさらに先の地点にたどり着いている。

重要なのは、AIの進化はここ2年間でほぼ垂直に急上昇したという点だ。この指数関数的な進化は止まらないだろう。20年以上ソフトウェア業界に身を置いているが、これほどの速度でテクノロジーが変化していくのを見たことがない。

例えば、カーソルというAIコーディングのツールを提供するアメリカ企業のエニースフィアは、約3年で売上高5億ドルにまで成長した。これは史上最速の成長を遂げたスタートアップの1つで、AIの爆発的な進化がそれを可能にしたわけだ。

――AIが本格普及することによってボックスの事業にはどのような変化がありましたか。

ボックスは企業にある契約書や請求書、財務書類、研究資料など構造化されていないデータの管理を支援している。企業はこれまで、こうしたデータの大半を見つけられないことで、膨大な情報を持っているにもかかわらず、十分に活用できていなかった。

だが、AIエージェント(ユーザーのタスク達成のために自律的に動くAI)の登場により、例えば質問を投げれば山のような情報からデータを抽出して答えることができたり、文書を読み込んで重要なデータを取り出したりできるようになった。また、こうした業務そのものを自動化することが可能だ。つまり、企業が自社の情報と向き合い、それを活用する方法が根本的に変わりつつあるわけだ。

ある金融機関は抽出した情報をもとに顧客のオンボーディング(導入プロセス)を迅速化したり、融資の審査プロセスを加速させたりしている。こうしたAIエージェントの具体的かつ実用的な利用事例が広がりつつある。

――クラウド上の文書管理はグーグルやマイクロソフトも手がけるようになっています。ボックスの優位性はどこにあるのでしょうか。

われわれはデータを安全に保管し、AI活用に最適な形に整える最高のプラットフォームとなることを目指している。

データのアクセス管理、権限設定、セキュリティなどをプラットフォーム内で適切に扱うことは極めて重要だ。そのうえで、企業が日常的に使用するあらゆるソフトウェアと連携できるよう統合を行っている。

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