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成長鈍化の個人割賦市場にオリエントコーポレーションが満を持して業績回復の「切り札」投入、大胆な構造改革で低迷期からの脱却図る

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 梅宮真/うめみや・まこと 1964年生まれ。1987年大阪大学経済学部卒業、富士銀行(現みずほ銀行)入行。2015年みずほフィナンシャルグループ(FG)執行役員、2017年執行役常務、2020年みずほ銀行副頭取執行役員、2023年みずほFG取締役兼執行役副社長。2024年オリエントコーポレーション取締役副社長、2025年4月より代表取締役社長(現職)(写真:梅谷秀司)
クレジットカードの利用機会拡大などを背景に「個品割賦市場」が成長力を欠く中、最大手のオリエントコーポレーションも業績低迷が続いている。直近2期連続で業績予想を下方修正。中期経営計画の最終年度だった前2025年3月期の経常利益は、中計目標の400億円を大きく下回る123億円だった。
そのオリコが業績回復の「切り札」として今年投入したのが、個品割賦のデジタル版といえる「デジタル分割払い」だ。4月に社長に就任した梅宮真氏に、デジタル分割払いの潜在力や業績回復への舵取りについて聞いた。

 

ビジネスのあり方を変えるキラーコンテンツ

――個品割賦市場の成長力が鈍化しています。どのような手を打っていきますか。

ビジネスのあり方を変え、顧客体験を変えていくことで、個品割賦市場には今も大きな成長余地があると思っている。そのキラーコンテンツとして当社が今年2月に投入したのが「デジタル分割払い」だ。

従来の個品割賦は商品を購入する都度、加盟店が示す条件を基に割賦契約を結ぶ必要があった。それがデジタル分割払いでは割賦の与信枠が設定されるので、枠に余裕があればいちいち加盟店と契約を結ぶことなく、買い物に利用できる。

申し込み手続きも簡便だ。従来の個品割賦では最低でも32項目を入力していただいていたが、デジタル分割払いであれば17項目の入力で済む。割賦販売法で定められた「支払可能見込額調査」ではなく、独自のAI与信(性能規定与信)で審査するので手続き時間が短縮され、与信枠も広がりやすい。

加盟店にとっては販売促進につなげられる効果があり、割賦契約に要していた手間も減るので、接客・営業に割ける時間が多くなる。かなり便利な決済サービスなので、相当程度マーケットに浸透すると思っている。

――クレジットカードの与信枠も似た商品性を有しています。

同じ分割払いでも、クレジットカードは分割回数が短く、せいぜい24回払いだ。デジタル分割払いは個品割賦なので分割回数を多く設定でき、最長99回払いまでの返済計画を作れる。

金利負担もクレジットカードの分割だと10%以上取られるが、割賦の場合には加盟店が金利負担の一部または全部を持つことで、顧客負担がないケースもある。

――他社が同様の商品を投入したら、競争力が低下するおそれがあります。

正直なところ、他社がすぐに追随することは難しい。デジタル分割払いは、経済産業省から「認定包括信用購入あっせん業者」の認定を取得したことによるもので、取得するまでに2年を要した。

認定包括信用購入あっせん業者を取得している事業者はほかに3社(メルペイ、ファミマデジタルワン、ナッジ)あるが、割賦販売を主業としているのは当社しかいない。与信枠などの問題で取りこぼしていた顧客を集客できるとなれば、加盟店やネット経済圏から「ぜひ使いたい」という話になるはずだ。デジタル分割払いには大きな成長余地があると見込んでいる。

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