分断化する世界で企業に求められる「ルースカップリング戦略」とは何か アップル、ユニリーバの成功事例に学ぶ

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握手するビジネスマン
地政学リスクに柔軟に対応するための、新しいグローバル経営戦略について解説する(写真:metamorworks/PIXTA)
米中対立やナショナリズムの高揚に代表される「地政学リスク」の高まりに、グローバル企業はどう対応すべきか。
アップル、ユニリーバ、ナイキが実践する「新グローバル経営戦略」の本質を解説した『デジタル多国籍企業:分断化する世界でいかなるグローバル戦略をとるべきか』の翻訳に携わった株式会社クニエの笹川亮平氏が、世界的な規模と地域の独自性を両立する、注目の「ルースカップリング戦略」について解説する。

近年、米中対立やナショナリズムの高揚に代表される地政学リスクが高まっており、現地企業の保護を目的とした市場参入規制や、各国のデジタル規制をはじめとした独自のローカル規制が強化されています。また急成長する新興国市場では、その成長速度に合わせた迅速かつ柔軟な現地化への対応が不可欠です。

分断化する世界で多国籍企業はどう戦うべきか

これまで多くの多国籍企業は、共通化されたビジネスモデルと集中管理による効率的な事業運営を進めてきました。しかし今、求められているのは、現地の規制や商慣習に対応しながらデジタルを活用して一元化と現地化の最適なバランスを実現する新たなグローバル戦略なのです。

『デジタル多国籍企業:分断化する世界でいかなるグローバル戦略をとるべきか』
『デジタル多国籍企業:分断化する世界でいかなるグローバル戦略をとるべきか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

ある製造業のお客様において、約4年かけて、グローバルサプライチェーンマネジメントの高度化に向けた業務プロセスとITシステムの構築を進めていましたが、新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けました。

ロックダウンにより、工場に行けないため製品を作ることができない、コンテナがないため製品を運ぶことができない、現場の情報が適切かつタイムリーに把握できないなど、混乱が断続的に発生する期間が数年にも及びました。

その間、海外販社、本社、工場は刻々と変わる状況をエクセルやメール、電話といった人海戦術で関係者に伝え続け、構築した新しいプロセスとITシステムの外で業務が遂行されました。お客様と共に作り上げたサプライチェーンは、混乱化においてまったく機能しなかったのです。

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