分断化する世界で企業に求められる「ルースカップリング戦略」とは何か アップル、ユニリーバの成功事例に学ぶ

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「ルースカップリング戦略」の代表例として、ユニリーバとアップルの戦略について紹介します。

ユニリーバのグローバルビジネスには、中央集権化と分権化の両方の歴史があります。現在は、全社的な目標に関する意思決定は本社が行い、実行戦略は各地域が大きな自由度をもって決定しています。

その一例として、同社は、IoTセンサーを搭載した機械からデータを取得し、工場の運営状況をモニタリングできるようにして、運営の変更を現地とグローバルで管理できるデジタルツインを構築しています。

現地の工場や配送センターの運営の見える化と自動化を実現し、本社ではリアルタイムで分析シミュレーションを行い、現地でのタイムリーなアクションを可能としています。デジタル技術を活用し、「ルースカップリング」と「タイトカップリング」を同時に実現しているのです。

地政学リスクに柔軟に対応、デジタルチャネルの重要性

次に、インドにおけるアップルの販売戦略を見てみましょう。インドで同社は、主に地域のeコマースプラットフォームを通じて製品を販売していました。インドのFDI規則が変更されたのを機に独自のオンラインストアを設立した後も、自社の実店舗は一部の都市に限定し、大部分の販売はサードパーティの店舗で行っています。

インド市場の特性やFDI政策の不確実性もあり、潜在顧客にリーチする手段として、デジタルチャネルは実店舗よりも重要性が高まっているのです。

ほかにも多くの企業が、中国やインドをはじめとするアジア市場への進出において同様の戦略をとっています。今後は、「タイトカップリング」に依存するのではなく、デジタルを活用し即応性と柔軟性を両立させる「ルースカップリング」の採用が不可欠となるでしょう。

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