分断化する世界で企業に求められる「ルースカップリング戦略」とは何か アップル、ユニリーバの成功事例に学ぶ

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しかし、「タイトカップリング」か「ルースカップリング」か、を固定の戦略と捉える必要はありません。デジタルを活用したグローバル展開で検討すべき以下の4つの側面から、事業特性や市場特性に応じて、どの部分を「ルースカップリング」化し、どの部分を「タイトカップリング」として維持するのかを戦略的に決定していくのがいいでしょう。

デジタルを活用したグローバル展開における4つの側面

・顧客と市場:製品・サービスをどこまでデジタル化できるか。販売チャネルやブランド浸透において、どのようにデジタルを活用できるか。
・パートナーとエコシステム:取引先との連携をどこまでデジタル化できるか。デジタルプラットフォームをどのように活用できるか。
・オペレーションと活動:事業運営をどこまでデジタル化できるか。デジタル化した際、子会社に意思決定の権限をどこまで委譲するべきか。
・リソースと知識:イノベーション創出でコラボレーションするためにどのようなデジタル化が可能か。成果を共有するためにどのようにデジタル化できるか。

例えば、製造企業のグローバルサプライチェーンの再構築においては、製造プロセスの標準化や品質管理(オペレーション)は、本社が全体設計と標準化を統括する「タイトカップリング」を維持する一方で、市場対応のプロモーションの最適化(顧客と市場)には、各国の文化や消費者嗜好に応じた柔軟な対応が求められます。そのため、現地で最適な訴求ができるデジタル広告やソーシャルメディアを採用する「ルースカップリング」が有効なアプローチとなるかもしれません。

「ルースカップリング」を進めていくにあたっては、前述の4つの側面をすべて同時に着手しようとするのではなく、まずは一つに焦点を当て、徐々に切り替えていくアプローチが推奨されます。

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