分断化する世界で企業に求められる「ルースカップリング戦略」とは何か アップル、ユニリーバの成功事例に学ぶ

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では、物理的なアセットを多く抱える既存の多国籍企業は、どこから始めるのがよいのでしょうか。

レジリエントな組織を築くデジタルケイパビリティ

私は、「リソースと知識」の側面からスタートすることをおすすめします。なぜなら、個人・チーム・組織レベルでのデジタルケイパビリティこそが、他の3つの側面を支える土台となるからです。

たとえば、アジャイル開発の原型となった日本の製品開発手法や、リーンスタートアップの源流となったトヨタ生産方式など、日本企業にはもともと変化に強く、柔軟性の高いDNAが備わっています。こうした本来の強みをデジタルと組み合わせ、デジタルケイパビリティとして再構築することで、成長力を取り戻せると考えています。

かつては、トップが示した戦略を着実に実行する組織力が重視されてきました。しかし、不確実性の高い現在では、共通のパーパス(目的)に基づき、各地域・組織が自律的に戦略を構築・見直しできる柔軟な組織力(レジリエンス)が求められています。

企業のリーダーの役割は、競争戦略そのものよりも、まず長期的な「パーパス」を明確にし、それを実現するための組織構造(アーキテクチャー)を作ることにあるのではないでしょうか。

本記事が、グローバル戦略の再構築に取り組む企業にとって、あらたな視点や示唆をもたらす一助となれば幸いです。

笹川 亮平 株式会社クニエ シニアマネージングディレクター

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ささかわ りょうへい / Sasakawa Ryohei

株式会社クニエ  シニアマネージングディレクター
 25年以上にわたりサプライチェーンマネジメント(SCM)コンサルティングに従事。クニエにおけるSCMおよびS&OPのコンサルティングサービスをリードし、パートナーとのアライアンス関係の構築、クライアントエンゲージメント役割にも従事。SCMの計画領域における企画構想、データ分析、プロジェクト計画、実行、管理までを手掛ける。共著書に『ダイナミック・サプライチェーン・マネジメント』(日経BP)、『フォーサイト起点の社会イノベーション』(日本経済新聞出版)、『デジタル多国籍企業』(東洋経済新報社)がある。

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NTTデータ・コンサルティング・イニシアティブ

NTTデータグループでコンサルティング業務を担う、株式会社NTTデータ内の組織、株式会社NTTデータ経営研究所、株式会社クニエ、株式会社NTTデータ数理システムの4社の事業連携。編著書に『フォーサイト起点の社会イノベーション:新たな価値を創出するため企業は何をすべきか』(日本経済新聞出版、2024年)。訳書として『THE DIGITAL TRANSFORMATION ROADMAP』『生成AI活用の最前線』『フュージョンストラテジー』『スマート・ライバル』『デジタル多国籍企業』(以上、東洋経済新報社)がある。

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