葛飾区の「老舗和菓子店」運営会社が廃業した"意外な背景"。原材料高騰に加え、埼玉県八潮市の事故影響も…。2025年の「休廃業・解散件数」の行方は

どら焼きが人気の和菓子店を運営する「えびす製菓」(東京都葛飾区)が、9月30日をもって全店舗を閉鎖し、営業を終了することを公表した。
同社は、現代表の父によって1968年に設立された。業歴は半世紀を超え、50名あまりの従業員を有し、葛飾区に2店舗、八潮市など埼玉県内に3店舗の計5店舗を構えていた。
北海道の「かおり豆」で作る餡にこだわり、葛飾区内の自社工場で製造した「満願どら焼き」などを店頭やオンラインショップで販売。2024年9月期は年売上高約1億4000万円を計上していた。
えびす製菓は“道路陥没事故”などが廃業の背景に
地元で愛される老舗和菓子店が廃業を決断した一因には、コロナ禍での来店客数減少がある。ゼロゼロ融資を導入して当座の資金繰りをなんとか凌いだものの、従前からの借入金もあって年々返済負担が重くなっていた。
2024年には、どら焼きの原材料となる「小豆」が前年の猛暑による不作で値上がり。「卵」も鳥インフルエンザなどの影響で高騰するなか、上昇を続ける調達コストを販売価格に転嫁できず利益率も悪化した。
廃業のもう1つの背景となったのが、2025年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故だった。売上高の3分の1以上を占めていた八潮店は、事故現場と同じ県道54号線沿いにあり、近隣では交通規制されていた箇所があった。かろうじて運営は続けられたものの、来店するには迂回路を通らねばならず、客足は大きく減少した。
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