飲食業界の2025年度は倒産続きの「試練の年」に 石川県地盤の焼き肉チェーンが「負債8500万円」抱えて破産手続き入り

物価高、賃上げ、人手不足、価格転嫁難――。
こうしたコスト増を自社で吸収しようと懸命な努力を続けるが、経営体力はやがて限界に達し、倒産に追い込まれる。企業倒産の現場でいままさに起きているのはこうしたパターンだ。特に飲食店では、そうした事例が多発している。
焼き肉店『ぎゅうばか』を運営していた「じょうしょう」(石川県小松市)が、3月14日に金沢地裁より破産手続き開始決定を受けた。代表兼務の別会社「ステップアップ」(石川県金沢市)とともに一体的な経営を行っていたが、肉類の価格上昇や人件費の高騰もあって資金繰りは逼迫し、事業継続断念に追い込まれた。負債8500万円を抱えての破産手続き入りとなる。
東京都内含め最大4店舗を運営していたが・・・
同社は1989年8月に設立され、30年以上にわたって順調に事業を拡大してきた。石川県内に「ぎゅうばか小松本店」を構え、東京都内の高円寺店など最大4店舗を運営していた。
しかし、2018年に小松北店、2020年には横川店を閉鎖し、グループで2店舗の運営となっていた。コロナ禍では営業自粛や時短営業などを強いられる厳しい経営状況が続いた。このため、テイクアウトなどのメニューを拡充するほか、グループ会社の「ステップアップ」が新規事業として、当時人気を集めていたショコラ専門店のFC店を金沢駅に隣接する商業施設内にオープンするなど、経営の立て直しに努めた。
しかし、2022年にショコラ専門店の事業本部であるフランチャイザーが倒産。「ステップアップ」が運営するFC店舗も、わずか1年で撤退を余儀なくされた。さらには同時期から、ロシアによるウクライナ侵攻などに端を発して輸入牛肉や野菜などの原材料費が上昇し、人件費の高騰も追い打ちをかけた。経営が圧迫されるなか、2024年10月に「ステップアップ」は負債4500万円を抱えて破産に追い込まれた。
その後は「ぎゅうばか小松本店」のみの営業を続けていたが、グループ会社倒産に伴って一部仕入れ業者から支払い条件の変更を要請されたことで資金繰りが逼迫した。高止まりが続く各種コストの増加も大きな負担となり、3月についに倒産に追いこまれたわけだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら