3カ月以上待たされた挙句に「当行で融資は難しい」 頼みの綱切れ、配偶者から”1000万円借金”・・・老舗「和装小物問屋」が破産した悲しき顛末

「この度、株式会社中越は諸般の事情により令和7年4月10日をもって業務を終了することとなりました。これまで長きにわたるご支援に心より感謝申し上げますとともに、ご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます」
4月10日、自社ホームページ上にこのような「業務終了のお知らせ」をアップし、1951年創立の和装小物の老舗問屋「中越」(東京都中央区)が歴史に幕を下ろした。
日本橋の老舗企業が倒産の衝撃
「中越が倒産したのではないか」――。複数の取引先関係者から問い合わせが相次ぎ、帝国データバンクでは上記お知らせがアップされる前々日の4月8日から情報収集に動いていた。
当社の取材記者が現地に足を運ぶと、従業員が勤務する姿が見られ、代表取締役にも接触できた。代表からは「通常通り営業しており、今後も続けていく」とのコメントを得られた。しかし従前から厳しい業況と資金繰りが続いており、額面通りに受け取れはしなかった。
筆者はこれまで25年にわたって3000社を超える企業を取材してきた。過去の案件を振り返っても、そもそもこうした“倒産問い合わせ”が調査会社に入る時点で、その会社の“末期的な状態”を暗示していることが多い。中越のケースも事前の予想通り、現地取材2日後の4月10日に10数名の全従業員を解雇し、さらに4日後の14日に東京地裁へ自己破産を申し立てた。

100年先まで真ごころを込めて、和ごころをお届けします――。こうした企業理念を掲げる中越は1951年、東京都中央区日本橋富沢町に資本金100万円で創立された。以来70年以上にわたって和装小物一筋で事業を営み、1950年代から60年代にかけて数度の増資を実施。1972年には鉄筋6階建の本社ビルを東京都中央区に建設するなど、順調に業容を拡大してきた。
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