飲食業界の2025年度は倒産続きの「試練の年」に 石川県地盤の焼き肉チェーンが「負債8500万円」抱えて破産手続き入り 

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今後の倒産動向に影響する主なリスク要因を、5つ挙げておこう。これら5つの要素が複合的に影響し合うことで、中小零細企業の倒産リスクは高止まりが続くだろう。

①不確実性が増すアメリカ経済の減速懸念
②自動車を中心とするトランプ関税の行方
③物価と賃金の好循環の“未実現”
④日銀による追加利上げ後の借入金利の上昇
⑤地銀再編に伴う融資先選別の動き

最も注目されるのは、米トランプ関税の行方だ。「相互関税」上乗せ部分の90日間の停止発表からおよそ1カ月となるが、関税交渉の結果次第で、2025年度の倒産件数をさらに押し上げかねない。

帝国データバンクの「TDBマクロ経済予測モデル」を用いた試算によれば、日本全体の企業の経常利益は減少に転じ、2025年度の倒産件数は関税交渉後の結果次第で1万0489~1万0687件まで増加する見込みだ。

飲食業界には厳しい事業環境が続く

こうした環境下、2025年度も小規模業者を中心に飲食店の淘汰は止まらないだろう。2024年度の飲食店の倒産は901件にのぼり、4年ぶりに過去最多を更新した2023年度(802件)を上回った。焼き肉店、中華料理店、ラーメン店などあらゆる業態で倒産増加が目立つ。

食材の多くを輸入品に頼る飲食業界にとって、足元の為替相場が円高に振れた点は好材料だ。ここ数年苦しめられた仕入れコストの上昇に、一定の歯止めがかかる可能性はある。その一方で、今後はトランプ関税の影響で個人消費の下押し圧力が強まりかねない。消費者の財布のひもが固くなれば、経営体力に劣る中小プレイヤーはひとたまりもない。場合によっては、2025年度の飲食店倒産が「3年連続で過去最多」となる事態も十分ありうる。

内藤 修 帝国データバンク 情報統括部 情報編集課長

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ないとう おさむ / Osamu Naito

2000年入社。本社情報部、産業調査部、横浜支店情報部長、情報統括部 情報取材課長を経て、2023年10月から現職。24年間で約3000社の「倒産した会社」と「倒産しそうな会社」を取材。入社以来一貫して、倒産企業の取材、倒産動向のマクロ分析とともに、注目業界の動向やトピックをまとめた調査レポートの作成を担当。専門は、倒産動向分析、企業再生研究。横浜市出身。

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