
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻さを増していた頃のこと。都内で印刷関連の中小企業を営む社長の元には、銀行や信用金庫の担当者からの連絡が相次いだという。
「お宅ならまだ融資枠に余裕がありますし、ゼロゼロ融資もあります。今後のことを考えて借りておきませんか」
売り上げは減少していたが、新たな融資を受けなければならないほどではなかった。しかし先が見通せない中で、資金的な余裕があるに越したことはない。そう考えた社長は、ゼロゼロ融資だけでなく通常の融資も申請した。
コロナ禍は想定以上に長期化したため業績は急悪化したが、融資のおかげで家賃と社員の給与はどうにか支払うことができた。社長は「あのとき借りておいてよかった」と語っていた。
ところがだ。コロナ禍が沈静化しても業績は一向に回復しなかった。そうした中でゼロゼロ融資の返済期日が到来。利払いだけでなく元金についても返済が始まり、「条件変更をのんでもらったが、それでも苦しい。このままではそう遠くない時期に倒産してしまうかもしれない」とため息を漏らす。
3年連続で高水準
数年にわたって債務の利払いすらままならず、実質的な経営破綻状態にあるにもかかわらず、銀行や政府などの支援によって存続しているような企業のことを「ゾンビ企業」と呼ぶ。
今、日本中にそうしたゾンビ企業があふれている。コロナ禍に実施されたさまざまな支援策を受けた結果、過剰債務に陥ってしまい返済に窮している企業が急増しているためだ。
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