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多様性の維持こそが保守主義の要諦/T・S・エリオット『文化の定義のための覚書』を読む(上) ラッセル・カークがニクソン大統領に薦めた書

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『荒地/文化の定義のための覚書』T・S・エリオット 著 深瀬基寛 訳
T・S・エリオット『荒地/文化の定義のための覚書』深瀬基寛 訳/中公文庫

20世紀世界文学において最重要だとさえいわれる詩人・劇作家T・S・エリオット(1888〜1965年)。その代表的長詩「荒地」は日本文学にも大きな影響を与え、戦後、田村隆一ら「荒地派」と呼ばれる一群のモダニズム詩人が登場した──。というより、世界的大ヒットとなったミュージカル『キャッツ』(初演81年)の原作者といったほうがなじみ深いかもしれない。

カークが挙げた1冊

ビジネスに効く名著のエッセンスを識者がコンパクトに解説する。【原則土曜日更新】

晩年に近い時期の代表的評論「文化の定義のための覚書」(以下、本書)については、こんなエピソードがある。72年春、ベトナム戦争で共産勢力の大攻勢を受け敗色濃くなったアメリカのニクソン大統領は、国内の暴動や麻薬禍からも亡国への強い危機感を抱き、代表的保守思想家ラッセル・カークを招いて、問いかけた。

「いま読むべき本が1冊だけあるとすれば、それは何だろうか」

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