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「画一化、平等主義」は人間の豊かな多様性を損なう/T・S・エリオット『文化の定義のための覚書』を読む(下) 『キャッツ』原作者の思想

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『荒地/文化の定義のための覚書』T・S・エリオット 著
T・S・エリオット『荒地/文化の定義のための覚書』深瀬基寛 訳/中公文庫

決して完成された作品とはいえない本書だが、エリオット自身もそれを認める。「覚書」(notes)と題されたゆえんだろう。にもかかわらず、読者に強く訴えるメッセージがある。地方文化と宗教というテーマを通して主張する、多様性の維持の大切さだ。

影響を受け続けることで、豊かになっている

ビジネスに効く名著のエッセンスを識者がコンパクトに解説する。【原則土曜日更新】

「一つの国民文化とは無限の地方文化の総結集」である。イギリス文化はスコットランド、アイルランド、ウェールズの各文化から絶えず影響を受け続けることで、大いに豊かになっている。仮にイギリス文化がそれらの文化を全面的に押しのけ取って代われば、それはイギリス文化の消滅を意味する、とエリオットはいう。

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