カナダが"アジア系と共生する道"を選んだ経緯 アメリカよりも欧州、なかでも北欧に似ている
※本稿は山中俊之著『教養としての世界の政党』から一部抜粋・再構成したものです。
アメリカの隣なのに穏健でリベラルな風土
北米でG7のメンバーでもあるカナダはアメリカと隣接しており、同じ連邦制の国ですが、個人主義で自由競争のアメリカとは違う風土の国です。
歴史的には、先住民が住む土地に英国とフランスが入植し、フランスとの戦いに勝った英国が主に植民地化。現在はフランス語圏も抱えるイギリス連邦の「多文化共生の国」として独自の道を歩んでいます。英国と同じく立憲君主制で国家元首は英国国王です。
実際の政治体制は上院と下院の二院による議院内閣制です。選挙は単純小選挙区で、下院選挙で最多を取った政党が与党となり、一般的にその党のトップが首相となります。
本稿執筆時点での与党はトルドー首相の自由党。伝統的に、リベラルな自由党と保守党が競い合いつつ、全体的には「穏健でリベラル」というのが特徴です。2つの主要政党は競い合いながらも双方が中道寄りなので、どちらが政権を取っても極端な政策とはなりません。
……というのが教科書的な説明ですが、ビジネスパーソンの押さえておきたいポイントは別にあります。「多文化共生」と「地域色」です。どのようなものか、さっそく見ていきましょう。
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