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企業倒産1万件? コロナ禍より悲惨な中小企業 ゾンビ企業が延命したが販売低迷、原価も高騰

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2024年度の企業倒産は11年ぶりの1万件超えが予想される。

寂れた様子の鳴子温泉の街並み
宮城県の鳴子温泉。高齢化を理由に土産店や飲食店の廃業も相次ぐ(写真:毎日新聞社/アフロ)

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後継者不足や事業環境の悪化で廃業リスクが高まる日本の中小企業。一方、M&Aを契機とした業績回復や海外挑戦といった明るい動きも見られる。
『週刊東洋経済』5月25日号の特集は「中小企業 大廃業時代の処方箋」。中小企業の新たな生き方を探る。
週刊東洋経済 2024年5/25号(中小企業大廃業時代の処方箋)[雑誌]
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今年1月、広島県三原市の老舗パン店「オギロパン」が100年超の歴史に幕を閉じた。自己破産を申請したからだ。

1918年創業で砂糖の粒々感が特徴の「しゃりしゃりパン」などを製造し、本店に加え地元スーパーでも販売。知名度も高かった。

帝国データバンク(TDB)によると負債総額は約1億6800万円。地元住民は「子どものときから好きだったパンをもう食べられないのは寂しい」と残念がった。

東京商工リサーチ(TSR)によれば、大手スーパーへの出店も奏功して95年7月期には約3億6000万円の売上高を計上したが、他社との競合などで売り上げ規模縮小が続き、2023年7月期は1億円を割り込んだ。

コロナ禍や原材料・光熱費の高騰が襲う

4月に破産手続き開始決定を受けたオギロパンの荻路新吾社長が東洋経済の取材に応じた。資金繰りの悪化に加え、老朽化した設備の更新が難しいことから、今後の事業継続は困難と判断し、昨年12月末に正社員7人、パート14人を解雇したという。住宅ローンを抱えた正社員3人には再就職をあっせんしたことも明かした。

荻路社長は、「09年に父から経営を引き継いだときは赤字だった。スーパー向けの卸売りの強化が効いてコロナ前には黒字も出るようになった」と振り返る。

そこに襲ったのがコロナ禍や原材料・光熱費の高騰だ。「昨年、商品の価格を1割値上げしたが、販売数量が落ちて採算はむしろ悪化した」(荻路社長)。

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