急速に広がりを見せるM&A市場。そこには光と影がある。
中小企業の事業承継の主流は親族内承継や内部昇格で、合わせて約7割を占める。一方、M&A(合併・買収)も認知度が高まり、現在では全体の約2割を占めるまでに広がってきた。
買い手と売り手をつなぐのは、地方銀行をはじめとした金融機関に加え、近年ではM&A仲介会社や買い手と売り手のマッチングに特化した会社が存在感を増す。
M&A事業者の数はこの5年で3倍近くに増え、3000を超えた。大手を辞めて独立し、小規模の事務所を開く動きも盛んだ。M&A業務を担う従業員が2人以下の事業者が全体の7割を占める。
新規参入が増える中、サービスレベルの低下を指摘する声も少なくない。トラブルも相次ぐ。
早期の株式売却を迫る
西日本にある物流会社の社長だった佐藤次郎氏(仮名)は2022年秋に大手M&A仲介会社を通じて、ある企業から資本参加を含む提携の提案を受けた。これが後にM&Aに発展する。この物流会社は当時業績が低迷しており、買い手企業との提携は大手との取引拡大のメリットがあった。
「仲介会社の進め方がおかしい」(佐藤氏)と感じるようになったのは、買い手企業の経営陣を交えたいわゆるトップ面談の後だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待