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M&A仲介最大手「業界のモラルが低下している」 日本M&AセンターHD社長が「ルシアン事件」を語る

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日本M&AセンターHD三宅卓社長
三宅卓(みやけ・すぐる)/1952年生まれ。大阪工業大学工学部経営工学科卒。1977年日本オリベッティ入社。1991年日本M&Aセンターの設立に参画。1992年取締役、2008年社長に就任。2021年10月持ち株会社体制に移行。M&A仲介協会初代代表理事(撮影:今井康一)。

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40社近くを買収し、買収先の現預金を引き出した末に行方をくらます詐欺スキームを繰り返したルシアンホールディングス(HD)。同社のM&Aでは数多くの仲介会社が関与していたことが判明している。今般の事件について、M&A仲介業界の関係者はどのように受け止めているのか。M&A仲介最大手である日本M&AセンターHDの三宅卓社長を直撃した。

――ルシアンHDによるM&Aトラブルをどのように受け止めましたか。

M&Aを使った詐欺的で悪意のある行為が出現したということにショックを受けた。それと同時に、来るべきものが来たとも感じた。M&Aが業界として注目されれば、それを悪用しようとする人もいる。より身を引き締めて対応策を考えていかなければいけない。

――「来るべきものが来た」とはどういうことですか。

M&Aは少し前までプロフェッショナルの領域だった。仲介会社の数が少なく、金融機関経験者や会計士、弁護士などが担い手の中心で、買い手と売り手もM&Aをよく理解していた。そもそもM&Aに対する精神的なハードルが高く、企業側も慎重だった。

それが今では、後継者不在を背景とするM&Aニーズの急拡大によって、かなり一般化した。ニーズが増えたことで仲介会社の数が激増し、中小企業庁の登録事業者だけでも600社以上ある。

さらに仲介会社から(売却などの意向に関する)電話や手紙を毎日のように受けることで、企業側も「M&Aは一般的なのかな」という認識になる。M&Aの裾野が広がったことで、この状況を悪用する人が出てきてもおかしくないだろうと感じていた。

ただ、ルシアンHDのように、最初から現預金を引き抜く目的でM&Aを行う極めて悪質な買い手が出てくるとは想像もしていなかった。

最初のチェックでは「見抜けていない」

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