中小企業庁は10月29日、「不適切な買い手」のM&Aを支援した仲介事業者15社に対して注意を行い、適切な対策の検討・実施を指示した。中企庁は15社の社名を公表していないが、いずれもルシアンホールディングス(HD)によるM&Aを仲介した事業者とみられる。
ルシアンHDは2021年に会社を設立すると、約2年間で40社近くを次々と買収。現預金を引き抜いては経営者保証の変更を行わないまま行方をくらます詐欺まがいのスキームを繰り返した。会社を売却した旧オーナーの中には、倒産に至った一方で、経営者保証によって借入金の返済義務を負ったままの人もいる。
適切な対策なければ登録取り消しも
ルシアンHDを売り手企業に紹介した仲介事業者にも厳しい視線が注がれている。審査を十分に行わないまま紹介していた可能性が高いからだ。
東洋経済は今年7月、ルシアンHDの預金通帳と「被害者の会」への取材などを基に、少なくとも仲介事業者15社がルシアンHDのM&Aを成約させており、ほかにも4社でルシアンHDからの送金履歴(このうち2社は成約前の中間金や着手金の受領)があったことを報じた。15社の中には複数のルシアンHD案件を仲介していた事業者もいた。
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