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預金通帳が示す「ルシアン事件」のM&A仲介会社 複数案件を仲介した事業者も多数、各社に質問状

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茨城県土浦市にあるルシアンホールディングスのオフィス
預金通帳の取引明細などから、ルシアンホールディングスのM&Aに関与した仲介会社が判明した(記者撮影)

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 「彼らはルシアンホールディングス(HD)への企業譲渡を強く推薦してきて、『早く決めたほうがいいですよ』とまで言っていた」――。

こう証言するのは、ルシアンHDによる詐欺的なM&Aの被害者の1人。“彼ら”とはM&Aにおいて買い手企業と売り手企業をマッチングさせ、双方から報酬を受け取る仲介会社を指している。

ルシアンHDは2021年から約2年間で40社近くに及ぶ中小企業を買収した。そして買収先の現預金を引き出した後に行方をくらます「詐欺スキーム」を繰り返した。いずれの案件においても、ルシアンHDへの企業譲渡を手引きしたのはM&A仲介会社だ。

取引明細に多数の送金履歴

ルシアンHD事件の「被害者の会」が作成した調査資料によれば、把握できているだけで14の仲介会社が成約案件に関与していたことがわかっている。このほか、ルシアンHDの預金通帳に印字されている一部の取引明細から、被害者の会の資料に記載がない仲介会社にも高額な送金が行われていた事実が東洋経済の取材で判明した。

東洋経済では、これらの資料を基に成約案件に関与した仲介会社のほか、ルシアンHDからの送金履歴がある仲介会社を金額とともにリストアップした。中には、被害者の会の調査により成約に至っていることがわかっているものの、ルシアンHDが期日までに成功報酬を支払っていないため、この取引明細からは送金履歴を確認できない事業者もいる。

最も悪質性が疑われるのは、複数案件を扱っている仲介会社だ。ルシアンHDによる買収後のトラブルを把握したうえで再度、ルシアンHDを買い手企業として紹介していた可能性があるからだ。

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