ファミリービジネスを永続的に発展させるために必要なものとは。

大澤 真(おおさわ・まこと)/フィーモ代表。1981年慶応大学卒業。同年日本銀行入行。ロンドン事務所次長、金融市場局金融市場課長、那覇支店長などを歴任。2006年PwC入社。パートナーとしてファミリービジネスなどのリーダーを務める。12年から現職(撮影:梅谷秀司)
後継者不足や事業環境の悪化で廃業リスクが高まる日本の中小企業。一方、M&Aを契機とした業績回復や海外挑戦といった明るい動きも見られる。
『週刊東洋経済』5月25日号の特集は「中小企業 大廃業時代の処方箋」。中小企業の新たな生き方を探る。
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中小企業の大半を占める家族経営では、後継者選びや株式譲渡をめぐり争いになることも多い。家族経営専門のコンサルティング会社の大澤真・代表は「ファミリーガバナンス」構築の重要性を説く。その意義を聞いた。
──なぜ「ファミリーガバナンス」が必要なのでしょうか?
創業一族は各々が株主、経営者、家族の役割を担っている。
だが、立場や世代間で意見が異なり、対立した結果、事業の永続性が脅かされることも珍しくない。これを避けようと決定権を1人に集中させた場合、後継者が暴走し牽制がいっさい機能しないリスクもある。
リスクの回避とファミリービジネスの永続的発展には、所有や経営に関し創業家の基本的な約束事を決めた「家族憲章」やそれを順守させるメカニズムが必要だ。また、後継者育成や円滑な株式承継に必要な多額の資金を「ファミリーオフィス」がプールし、適切に運用・管理することも重要になる。
オタフクソースの家族憲章
──オタフクソースの家族憲章を作る支援をされたそうですが、創業家の佐々木家はその必要性を最初から認めていたのでしょうか。
まったくそうではなかった。
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