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けん玉、前掛け… 中小企業が海外で儲ける秘訣 日本の伝統品「帆前掛け」は世界で年間10万枚

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独自の戦略を武器に海外に活路を見いだす中小企業が続々。

自社工場の織機と前掛けをした西村社長と女性
エニシングは19年に豊橋に自社工場を設立した(写真:エニシング)

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後継者不足や事業環境の悪化で廃業リスクが高まる日本の中小企業。一方、M&Aを契機とした業績回復や海外挑戦といった明るい動きも見られる。
『週刊東洋経済』5月25日号の特集は「中小企業 大廃業時代の処方箋」。中小企業の新たな生き方を探る。
週刊東洋経済 2024年5/25号(中小企業大廃業時代の処方箋)[雑誌]
『週刊東洋経済 2024年5/25号(中小企業大廃業時代の処方箋)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

少子化が進み、国内市場が縮小する中、海外に打って出る中小企業がある。

日本の伝統品である「帆前掛け」を専門に製造するエニシング(東京都港区)は、世界30カ国で年間約10万枚を売り上げる。その前掛けは2021年公開の映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』にも登場した。

西村和弘社長は「前掛けは分厚く、素材も綿で丈夫なので、仕事着のイメージが強い。しかし海外の人の発想は自由で、高級フレンチのシェフが使っていたりする。デザイン性や品質のよさが海外の人から評価されている」と語る。

「日本の魅力を海外に伝える仕事がしたい」と00年に脱サラし、漢字Tシャツの販売を始めた。「とくに売れると思っていたわけではなく、ラインナップを増やそうと、04年からオーダーメイドの前掛けの販売も始めた」そうだ。オーダーメイドで前掛けを作れる店はほかになく、数百枚単位の注文が入るなど徐々に販売を伸ばしていった。

職人たちとの出会いがきっかけ

05年に前掛けを作る愛知県豊橋市の職人たちに出会ったことが、前掛け専門店に転換するきっかけだ。

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