ゼロゼロ融資で増えた「ゾンビ企業」の生存戦略 資金繰りに苦しむ企業はどうすればいいのか
帝国データバンク(TDB)が、「『ゾンビ企業』の現状分析」というレポートを出している。ゾンビ企業とは、国際決済銀行(BIS)が定義する「死に体企業」といった意味合いで、業歴10年で(営業利益+受取利息配当金)が金利支払いを下回っている企業のことを指している、のだという。
ざっくり言ってしまうと、借り入れして事業をやっても、利息分の儲けも出ないということであり、貸している側からすれば、返済どころか金利支払いさえ危ういリスキーな企業である、ということだ。
同レポートによると近年、ゾンビ企業が増えているという。その背景として指摘されているのが、コロナ禍で困窮する中小零細企業の資金繰りを支えるために国策として実施された「ゼロゼロ融資」がゾンビ企業の延命にもつながった、ということである。
「ゼロゼロ融資」で延命された企業の資金繰り
「ゼロゼロ融資」とは、コロナ禍という「災害」によって企業活動が制約されたことで、資金繰りに支障をきたすことを防ぐため、一定条件を満たす企業に対して、審査条件を大幅に緩和した制度融資を流し込んで、企業破綻の大量発生を回避したという国策だった。
これにより、コロナ禍によって資金繰りに影響を受けていた中小企業が数多く救済された。だが、平常時なら市場から退場させられるはずの企業が存続できてしまった、というのも確かである。
中小企業庁の「倒産の状況」によれば、コロナ禍の2021年~2022年には明らかに中小企業の倒産件数が減少し、2023年に元の水準に戻っている。この減っていた部分はゼロゼロ融資によって延命したと解釈してもいいだろう。そして、2023年から返済据置期間付きのゼロゼロ融資の返済開始を迎えており、延命された企業の資金繰りが懸念される時期に至っているのである。
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