ゼロゼロ融資で増えた「ゾンビ企業」の生存戦略 資金繰りに苦しむ企業はどうすればいいのか

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ゼロゼロ融資は政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工中金など)の融資と、民間金融機関の2つのルートがある。民間金融機関ルートについては、政策融資に応じられるよう全国の信用保証協会が100%保証する仕組みになっていた。

これは民間金融機関が貸し倒れを恐れて制度的融資を行わないことを避けるために、回収が不能になった場合は、信用保証協会(保証協会)が100%肩代わり(代位弁済、以下「代弁」)するというものだ。民間の中小零細企業向け融資において、これまでにもあった支援制度なのだが、この保証審査基準を緩和することで、潤沢な資金が企業に提供された。

企業の資金繰りが立ち行かなくなった際の保証協会の代弁の件数を見ても、コロナ禍の減少とアフターコロナの増加の兆候は明らかである。ちなみに、代弁という段階に至る=倒産ではないが、実質的には経営破綻という状況に陥っているとみていいだろう。

予備群の資金繰りが破綻する可能性

この表をみると、2011年から2019年までの平均代弁件数は年間5万件強あったが、2020年以降は、ぐっと減って2万~3万件で推移しており、単純計算で累積8万5000件弱が平時の件数より少なかったことになる。

残念ながら、市場から退場する企業は一定割合で発生することは避けられない、という前提に立てば、その分の件数が代弁予備群として先送られた状態だ。ゼロゼロ融資の返済が開始時期を迎えたということは、この先送りした予備群の資金繰りが破綻する可能性があることを金融機関としては、想定せねばならない。これは政府系金融機関においても同様であることは言うまでもない。

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