アメリカの財政統計が発表され、4月以降、関税収入が急増していることが注目されている。いわゆる「トランプ関税」は、現在のところ、まだ本格的に発動されていないが、鉄鋼やアルミニウム、それに自動車に対する関税は引き上げられている。また10%のベースライン関税(相互関税)が導入されていることなどから、関税収入は急増しているとみられる。
具体的には、3月時点で82億ドル弱だった関税収入は、4月には156億ドルとほぼ倍増し、5月には222億ドルに、さらに6月には266億ドルと「うなぎ上り」となっている。その結果、連邦政府の歳入に占める関税収入の割合も急上昇し、5月には6.0%にまで達した。6月には5.1%と下向いたが、関税は、有力な財源となったようだ。

このように、関税が有力な財源となったことで、ドナルド・トランプ大統領は関税協議に対して強気で出てくる、あるいは、トランプ後もアメリカは高い関税率をかけ続けるだろうという見方がにわかに有力視されている。こうした見方は、一面では正しいが、一面では過剰な反応だと考えられる。カギとなるのは、価格転嫁の進み具合となる。
トランプ関税の価格転嫁はどうなっているか
関税そのものを支払うのは、アメリカの輸入業者だ。その輸入業者がモノの価格を引き上げるなら、コストを最終的に負担するのはアメリカの消費者となる。一方、アメリカの消費者物価は4月の前年比2.3%をボトムに6月には2.7%まで上昇したが、この間に導入された関税のレベルに比べ、インフレの加速はまったく限定的だ。

これは輸入業者や販売業者が、関税の影響を見定めるために、価格転嫁を抑制しているためだと考えられる。つまり、各国の企業が関税引き上げのコストを一時的に負担しているわけだ。なお自動車販売業者では、いわゆるインセンティブ(販売奨励金)を削減するという対応もなされているようだ。これは、統計には反映されない実質値上げに相当する。
ただし、これらは時限的な対応であるから、関税は最終的には小売価格に転嫁される。そうなるとインフレが加速し、有権者の不満が高まる。インフレ退治をスローガンに掲げて当選したトランプ大統領がインフレを酷くさせたのだから、中間選挙での共和党の敗北が現実のものとなりかねない。関税の賞味期限はそう長くはないだろう。
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