
(イラスト:北沢夕芸)
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夏は戦争について考える季節だと思っている。
この時期、ニュースでは8月15日の玉音放送の映像が流れる。この80年間、日本人は繰り返し、この場面を目にしてきた。
灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、呆然と立ち尽くす人々……。彼らは敗戦を受け止めきれていない。
不安な表情の裏でこう思う。
「なぜ、日本は負けたのか」
資源が乏しいのに超大国アメリカに無謀な戦いを挑んだから?
うむ。その通りである。
ではなぜ、それほど無謀な戦争に突入したのか?
そんなプリミティブな疑問に、今も歴史の大家は呻吟(しんぎん)している。
保阪正康、85歳。
昭和史研究の第一人者で、すでに150冊近い著作を出している。
その保阪をしても、日本が戦争に突入した謎が解けていなかった。
「なぜ日本人は太平洋戦争を始め、敗戦に至ったのか。なぜ、『玉砕』『特攻』といった無謀な作戦で多くの人命を失ってしまったのか?」
書き出しでそう問題意識を呈している。この『近代日本の地下水脈』はシリーズとして刊行中で、既(すで)に2冊が出版されている。
「戦争が、なぜ起きたのか」が判然としなかったのだ。その源流を突き止めずして、日本と日本人の本質は理解できない──。
そんな執念を感じる。
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