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ゼロゼロ融資のツケ、中小企業に「42兆円」の重責 経営再建までの「時間稼ぎ」は実を結ぶのか

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コロナ禍で苦しむ中小企業の救済を目的に、政府が2020年3月から始めた資金繰り制度「ゼロゼロ融資」。破格の条件で資金が拠出されたが、多くの中小企業は今、融資の返済を迫られている。

2024年は中小企業の資金繰りが正念場を迎える。島根県で輸入車販売を手がけるプラチナは、コロナ禍が一服した今、攻めの経営姿勢を標榜する(記者撮影)

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コロナ禍で苦しむ中小企業の救済を目的に、政府が2020年3月から始めた資金繰り制度。「ゼロゼロ融資」とも呼ばれ、中小企業の生存を優先し、破格の条件で資金を拠出した。
その「宴」が、お開きのときを迎えている。多くの中小企業は利子と元金の支払いを据え置く期間が満了し、融資の返済を迫られている。彼らは果たして、巨額融資のツケを支払えるのだろうか。

 

2023年は40万件、2024年も20万件以上――。全国の中小企業に、「ゼロゼロ融資」のツケを払うときが来ている。

実質無利子・無担保融資。コロナ禍に苦しむ中小企業の救うべく、2020年3月から国が開始した資金繰り支援策だ。「ゼロゼロ融資」とも呼ばれ、2022年9月までに日本政策金融公庫や民間金融機関などによって約245万件、金額にして約42兆円が実行された。

緊急融資という性質上、当初の数年間は利子と元金の支払いが据え置かれた。今、多くの中小企業で、この据え置き期間が満了している。2023年には40万件で返済が始まり、2024年も20万件以上が控える。

返済開始が倒産の引き金となりかねない

問題は、返済開始が倒産の引き金となりかねないことだ。手厚い支援策によって「人為的に抑えられていた」(銀行関係者)倒産は、いよいよ増加に転じている。帝国データバンクによれば、2023年の倒産件数は8497件と前年から33.3%増加。うちゼロゼロ融資を利用した企業は651件で、こちらは前年から68.7%増えた。

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