中小企業による「ゼロゼロ融資」の返済が本格化している。金融機関が懸念するのは、コロナ禍で膨らんだ貸出残高の減少や貸出金利回りの低下だ。
「新規の貸し出しが増えるペースよりも、ゼロゼロなどコロナ融資の返済ペースのほうが早い」。東北地方の地方銀行幹部は気を揉む。この地銀の貸出残高は、ゼロゼロ融資の受付終了から間もない2023年3月末にピークをつけ、その後は右肩下がりが続いている。
未曽有の規模で実施されたゼロゼロ融資。苦境にあえぐ中小企業や個人事業主の資金繰りを救った反面、金余りに悩む金融機関にとっても絶好の融資機会となった。金融機関の貸出残高はコロナ禍以前から大きく伸び、利息収入も膨らんだ。
危機対応を大義名分に、各行はゼロゼロ融資にのめり込んでいった。関東地方の金融機関担当者は、一切付き合いのなかった零細企業にも「お困りではありませんか」と飛び込み営業をかけ、ゼロゼロ融資を引き出した。
「ノーリスク」で金融機関は前のめりに
金融機関の前のめりな姿勢の背景にあるのが、ゼロゼロ融資がほぼ「ノーリスク」であったことだ。各地の信用保証協会が保証をつけ、万が一融資が焦げ付いた場合でも協会が8割ないし、全額の返済を肩代わりする。貸し倒れリスクを気にすることなく融資ができる環境下、各行の貸出残高はみるみる伸びていった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら