「無断で開設された口座は約260件」「不正発覚後にノートパソコンをハンマーで破壊」、いわき信組「悪質な不正行為横行」の驚愕実態

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報告書発表から最初の営業日となった6月2日、預金の引き出しを求めて開店前から顧客が並んだ(記者撮影)

福島県いわき市を地盤とするいわき信用組合は5月30日、不正融資をはじめとした不祥事に関する第三者委員会の調査結果を公表した。昨年9月に元職員がSNSで告発したことをきっかけに発覚したこの事件。組合は11月に「投稿の内容はおおむね事実」と認め、第三者委員会の設置を発表していた。

「類例をみないほどに悪質な事案」

調査報告書によれば「我が国の金融機関の歴史を見ても類例をみないほどに悪質な事案」だといい、不正融資の始まりは遅くとも2004年3月にさかのぼる。当時、つばさ信用組合と合併(2002年)した影響もあって、大口融資先であるX社への貸出残高が47億円を超え、大口信用供与規制の限度額約30億円を大きく上回っていた。

早急に貸出残高を減らす必要があったが、それによってX社の経営状況が悪化し債務者区分が引き下げられると多額の貸倒引当金を計上することになる。当時、組合では40億円超の損失が出ると、自己資本比率が国内基準の4%を割るおそれがあった。

そこで組合は、表面上の貸出残高を減らす一方、ペーパーカンパニー(PC)への融資を通じたX社への迂回融資を決定する。迂回融資は2004年3月から2012年6月にかけて54回実施され、総額は18億円に及んだ。

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