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台湾で大規模リコールが不成立となった背景とは?民進党頼清徳政権に打撃で中国がほくそえむ展開に

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台湾リコール投票の様子
リコール投票の開票作業の様子。結果はリコールへの反対票が多数を占めた(写真:Getty Images)

台湾では7月26日に最大野党・国民党の立法委員(国会議員)24名の解職(リコール)の是非を問う投票が行われた。すべての選挙区で反対票が賛成票を上回り、リコールは1件も成立しなかった。

台湾のリコール投票は、反対派・国民党の圧勝に終わった。台湾の有権者は民進党の頼清徳政権に対して徹底した対決路線で臨んできた野党に軍配を上げたといえる。政権与党は手痛い敗北となった。

台湾では2024年の選挙で立法院(国会)で野党が多数派を占め、行政との「ねじれ」が発生した。台湾の憲法体制は「ねじれ」を想定していないので仲裁する方法もなく、与野党の対立がエスカレートした。

3分の1の選挙区で投票、ミニ国会選挙に

野党は次々に政権と対決する法案を提案し、それらを通過させた。それに業を煮やした市民団体が国民党の立法委員に対するリコール運動を始め、与党・民進党もそれを支援した。

今回投票が行われたのは24選挙区。台湾では小選挙区が全部で73あるので約3分の1の選挙区で投票が行われたことになる。リコールとしては空前の広がりで、ミニ立法院選の様相を呈した。

リコール派の訴えは、立法院での野党の行動に歯止めをかけること、親中派とされる立法委員を解職することの2つに集中した。それに対して野党は、昨年の選挙結果をリコールという方法で覆そうとするのは民主主義に反する動きだとして激しく反発した。

台湾では世論の分断が一段と進み、与野党の攻防に対する賛否も真っ二つに割れてM字型の対立構造になっている。今回のリコールでも、双方とも相手の主張を「根拠のない言いがかりだ」と考えて全面否定し、議論が成り立たない状況にあった。台湾政治は誰の話を聴くかでまったく異なるストーリーが浮かび上がる。

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