ついに新たな4年の方向性を決めた台湾社会。台湾の選択を「選挙の神様」が完全解説。徹底分析をお届けする(台湾政治研究者・小笠原欣幸氏の連載第11回となる最終回、前回記事はこちら)
台湾総統選挙の結果は与党・民進党の頼清徳候補が当選した。一方で、立法委員(国会議員)選挙では与党が過半数を割った。筆者は昨年10月30日の「産経新聞」で選挙結果がこうなる可能性を指摘したが、そのとおりの結果となった。今後4年間の台湾政治は、行政院は与党が主導するが、立法院は野党が多数の「ねじれ」となった。
今回の総統選挙は、民進党と国民党の2大政党構造を「ぶちこわそう」と呼びかける第3の政党・民衆党の柯文哲氏が参戦したことによって、従来とは構図が変わった。民進党も国民党も柯氏によって選挙戦略が攪乱された。
選挙の最大の争点は、突き詰めると8年続いた民進党政権をここで交代させるべきなのか、それとも継続させるべきなのかであった。単に「変えればよい」というものではないことはどの国も同じである。内政と外交のどちらを重視するかで有権者の判断が変わってくる。台湾の有権者も迷ったあげくの選択であった。
民進党・頼清徳が勝利した背景
頼氏の当選は一言でいえば蔡英文総統の路線の継承が相対的多数派に支持されたからである。他方で政権交代に期待する声も強く、民主化後8年ごとに政権交代してきた「8年の呪い」(台湾メディアの用語)が民進党に重くのしかかった。
頼氏は当選したが、4年前の蔡英文氏の57%には及ばず得票率は40%にとどまった。与党候補が当選したことと得票率が低下したことの両面を分析する必要がある。
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