台湾総統選挙まであと3週間。終盤戦では何が焦点になるか詳しく解説する(台湾政治研究者・小笠原欣幸氏の連載第10回、前回記事はこちら)
台湾総統選挙の投票日は年明け1月13日で、あと3週間となった。選挙戦は与党・民進党の頼清徳候補がリードし、野党・国民党の侯友宜候補が追い上げ、第3政党・民衆党の柯文哲候補がやや離されて追いかける展開である。論点はだいたい出尽くし、台湾内政上の構造要因からみれば頼氏が逃げ切る可能性が高い。
しかし、断定するのはまだ早い。突発的な事態やスキャンダルの暴露、外的要因が影響する可能性は否定できない。終盤戦で野党逆転のシナリオはあるのか、中国の介入は選挙情勢を変えうるのか。いよいよ大詰めだ。
頼清徳がリードだが、広がった「政権交代を」の声
3候補の支持率は野党候補一本化交渉が決裂した11月中旬に大きく変動した。頼氏の1位は変わらないが、2位と3位が入れ替わって侯氏が頼氏を追い上げる構図になった。12月に入ってから台湾では毎日世論調査が発表されている。そのたびに支持率の変化についてメディアが大きく伝えて、多くの人たちが振り回されている。
12月中旬に発表された主要世論調査5社(匯流、美麗島、鏡新聞、ETtoday、TVBS)の支持率を平均すると頼氏が35.9%とリードし、侯氏30.0%、柯氏22.2%と続く。
1つの世論調査だけを見ていると3~4ポイントの変動はよくある。しかし、5社平均値で5.9ポイントの差を逆転するのは容易ではない。ただし、8月に頼氏は2位に10ポイント以上差をつけていた。差が縮まってきたことは間違いなく、「逆転はない」と断言できるリード幅ではない。
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