「神様」による早すぎる台湾総統選の大予測(前編) 2028年こそ野党統一候補で民進党現職に挑戦か

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当分選挙がない台湾だが、2028年総統選をめぐる駆け引きは始まっている。たびたび選挙結果の予想が的中し、分析力の高さから台湾で「選挙の神様」と称される政治学者が早くも見通しを示す。

選挙集会に出席する台湾の頼清徳総統
2024年の選挙戦を勝ち抜いた頼清徳総統だが、2028年選挙は厳しい戦いを迫られそうだ(写真:An Rong Xu/The New York Times)

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※本記事は2024年7月20日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

今年1月に総統・立法委員選挙を終えた台湾ではしばらく選挙がない。2年後の2026年11月に統一地方選挙、そして3年半後の2028年1月が次の総統選挙だ。台湾の選挙を予測するには、選挙戦が始まってから見るのでは遅い。選挙が終わったときから次の選挙が始まる。どういう可能性があるのか常に「頭の体操」をしておくことが必要だ。

早すぎといわれるのを承知で2028年総統選挙を想像し、誰が候補者になりそうか、どのような動きをする可能性があるのかを考えてみたい。「可能性」が見えてくると、わかりにくい台湾政局の駆け引きも視界が開けてくる。

そもそも2028年は誰が出馬するのか?

民進党は現職の頼清徳総統が再選を目指す。これはよほどの事態がなければ変わらないだろう。よほどの事態というのは頼氏の支持率が極端に低迷し、同時に選挙が行われる立法委員(国会議員)の候補者らが「これでは戦えない」と悲鳴をあげる場合だ。

仮に頼氏ではダメだとなった場合に有力なのは副総統の蕭美琴氏だ。他に外相の林佳龍氏や高雄市長の陳其邁氏らがいる。

国民党の総統候補になる可能性がある人物として台湾メディアで名前が挙がっているのは、台中市長の盧秀燕(ろ・しゅうえん)氏、台北市長の蔣万安氏、立法院長(国会議長)の韓国瑜氏、立法院国民党議員団長(院内総務)の傅崐萁(ふー・こんき)氏、党主席の朱立倫氏らである。

筆者は盧秀燕氏が最有力だと観察している。まず「ママさん市長」として売り出しに成功し、市政の評価(満意度)も高い。台中市は北部の新北市に次いで人口が多く、台湾中部の南投県や彰化県と生活圏を形成し影響力も広くにわたる。

また、台中市は選挙のたびに勝利する政党が揺れる激戦地で、台中を制した候補が当選してきた。盧氏は2期8年を終えて出馬するので市長の任期を途中で投げ出すという批判も受けない。

さらに盧氏は対立をあおる発言が少なく、中台関係でも穏健な発言が多い。すでに選挙を意識して中道寄りのスタンスを打ち出している。5月の頼総統の就任式を国民党はボイコットしたが、盧氏は出席を表明した。党派を超えて出席するというスタンスは好感を呼び、台北市長と桃園市長も急遽出席に転じた。盧氏には賢い幕僚群もついている。

蔣万安氏を挙げる台湾メディアも少なくない。しかし、蔣氏は順調にいけば2026年に台北市長に再選される可能性が十分にある。2028年に出馬しようとすれば2016年に立候補した朱立倫氏(当時新北市長)、2020年の韓国瑜氏(同高雄市長)、2024年の侯友宜氏(同新北市長)が批判を浴びたのと同じく市長の任期の途中になる。蔣氏は賢明な判断をする人物なので2028年には出馬せず、任期満了後の2032年に照準を合わせるだろう。

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