中国にルーツをもつ士官学校で台湾防衛の決意を表明した頼清徳総統。7月に大規模防衛演習を控える台湾の動員力とは。
台湾海峡の緊張は高まり続けている。台湾で頼清徳新政権が発足した5月下旬に中国は台湾を取り囲んで軍事演習を実施。頼総統も中国の演習を受けて、民主主義の台湾を守る決意を表明し、軍部隊を視察した。三軍統帥としての意思を示し、軍事演習への対応をねぎらった。
6月に入ると、アメリカは台湾に対してF16戦闘機の部品など総額約3億ドルの売却を承認したと発表。さらに18日、台湾に攻撃型無人機など最大1011機、総額約3.6億ドルの売却を承認し、2025年までに引き渡すことを明らかにした。
台湾でも同月20日に人民解放軍の台湾侵攻を想定した統合防空作戦計画演習が行われた。蔡英文前総統が2016年の就任後に軍事には無関心と批判されたのとは打って変わり、頼総統は台湾の防衛に積極的なスタンスを打ち出している。
この緊張下で中国共産党と台湾の政府は、共通の記念日をそれぞれで祝っていた。その記念日は、中国と台湾の簡単には切り離せない複雑な関係を物語っている。
共通の100周年を祝う中国と台湾
6月16日、頼総統は台湾南部の高雄市にある陸軍軍官学校(士官学校)で開かれた「黄埔軍官学校」創設100周年記念行事に出席した。すでに部隊の視察を積極的にしてきた頼総統だが、軍の公式行事には初出席で国内外のメディアがこの行事を大きく取り上げた。
なぜ、注目が集まったのか。それはこの学校のルーツと頼総統の政治志向に理由がある。黄埔軍官学校は中国の広東省で設立された。1911年の辛亥革命を経て、軍閥打倒で中華民国の統一を目指す孫文は中国共産党との協力(国共合作)に踏み切った。その後、革命軍の幹部養成機関として1924年にできたのが「中国国民党陸軍軍官学校」、通称「黄埔軍校」だ。
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