強まる中国の「経済的威圧」に耐える台湾。短期的な影響は限定的だが、戦略的不可欠性の強化がカギだ。
台湾で民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が総統に就任して、およそ1カ月半が経った。中国は頼総統を「台湾独立工作者」とみなし、「威圧」行為を続けている。5月23~24日には台湾周辺で大規模軍事演習が行われたが、それにとどまらない。「経済的威圧」も強まっている。
5月30日に中国国務院関税税則委員会はECFA(海峡両岸経済協力枠組み協定)の部分的停止対象を広げると発表。6月15日に実行に移した。
ECFAとは2010年に台湾の馬英九政権、中国の胡錦涛政権の下で締結された中台間の自由貿易協定(FTA)に相当する取り決めである。中国はそれに基づき539品目の台湾製品に対して、台湾は267品目の中国製品に対して関税をゼロとしてきた。
台湾への「威圧」で優遇関税停止する中国
しかし、中国政府は、2023年12月に約2500品目の中国製品に対する台湾の輸入規制がECFA違反であると断じ、2024年1月1日、12品目の台湾製石油化学製品に対してECFAに基づく優遇関税の適用を停止した。そして6月15日、新たに134品目の台湾製品についても優遇関税の適用を中国は止めた。
このようにECFAの部分的停止の理由を中国側は台湾側のECFA違反に求めている。しかし、台湾では台湾が中国の一部であるとする「一つの中国」原則を受け入れない民進党政権に対する「威圧」が本当の目的だとの見方が一般的である。
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