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「台湾独立派」に死刑適用も中国の狙い外れる背景 日本も中国への意思や懸念を平素から伝えよ

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中国は台湾独立派への「処罰」方針を示し、台湾への圧力をかけ続けるがセオリー通りにはいかなさそうだ。

中国人民大会堂と中国国旗
中国は「台湾独立分子」を処罰するガイドラインを発表し、台湾へ圧力をかける姿勢を鮮明にする(写真:Bloomberg)

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中国政府が発表した「頑固な台湾独立分子」を処罰するためのガイドラインが波紋を呼んでいる。

6月21日、中国最高人民法院、最高人民検察院、公安部、国家安全部、司法部は連名で「法に基づいて『台湾独立』頑固分子の国家を分裂させ、国家の分裂を扇動するような犯罪を処罰することに関する意見」を通達した。同日、対台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室が開いた臨時記者会見に上記の機関(国家安全部以外)の代表者が出席し、この「意見」の主旨を説明した。

「意見」は全部で22カ条からなり、4部に分かれている。前文によれば、この「意見」は「反国家分裂法」と中国の「刑法」および「刑事訴訟法」に基づき、実務を行うために制定されたものである。

幅広い「犯罪」認定の内容

そのうえで、第1部(第1条)には全体の目的、第2部(第2条から12条)には「犯罪」にあたる行為、第3部(第13条から20条)には処分の手続き、第4部には付則が記されている。ここから、何が国家を分裂させる「犯罪」にあたり、「犯罪」が認定されるとどのような手順で「処罰」が与えられるのかというガイドラインを示すことが、この「意見」の主要な目的であることがわかる。

「犯罪」の認定に関しては、かなり幅広い内容が列挙されている。「台湾独立」を企てる組織や計画を作ること、や台湾が「中国」の一部であると規定する法律や制度を変更することのみならず、主権国家を参加要件とする国際機関に加盟しようとしたり、教育、文化、歴史、メディアなどに関わる個人や集団が「台湾は中国の一部であるという事実を歪曲したり、改ざんしたり」することまでもが「犯罪」だとされる。

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