ゼロゼロ融資で増えた「ゾンビ企業」の生存戦略 資金繰りに苦しむ企業はどうすればいいのか

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ここからはまったくの私見として聞いていただきたい。地域の金融システムを守っていくためには、ここで一斉に倒産されると国も困る。倒産対応という後ろ向きのエネルギーに割かれて、前向きな企業への地域金融システムが支障をきたすようになれば、地域経済には悪影響しかない。

であれば、きちんとした合理的な経営改善計画さえ備えれば、返済条件の変更に応じて少しでも資金繰り破綻を先送りしたいはずだ。その流れの中で、金融機関が相談に応じる可能性はこれまでになく高くなっているはずだ。

とにかく、企業としても返済緩和で時間を稼ぐことができれば、稼いだ時間で事業を再構築できる可能性だけは生まれる。このままでは存続は難しいと感じている経営者もおられるだろうが、ダメ元でやってみる価値はある、と申し上げたい。ただ、少なくとも、計画書という形式を準備しなければ、金融機関が助け舟を出せないルールであることは覚えておいてほしい。

金融機関との関係ができていない場合は…

中小零細企業経営者の方の中には、金融機関との関係ができていない、とか、親しい税理士や中小企業診断士などがいない、という方々も少なくないだろう。そんな時は、各都道府県内に必ず設置されている「よろず支援機関」(各都道府県の拠点)を訪ねてみることをお勧めしたい。ここは国が設置した中小零細企業の無料相談窓口であり、資金繰り問題に限らず、さまざまな相談事に対応する窓口であり、医療制度に例えれば「かかりつけ医」の役割を担っている。

内容に応じて完結することもあるが、かかりつけ医のように相談先を紹介してくれることもある(できれば、金融機関経験のある中小企業診断士などを、指名して相談するのがいいかもしれない)。結果どうなるかはわからないとはいえ、まずは支援制度の扉をノックしなければ、可能性もゼロゼロのままなのである。

中井 彰人 流通アナリスト

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なかい あきひと / Akihito Nakai

みずほ銀行産業調査部で小売・流通アナリストに12年間従事。2016年同行を退職後、中小企業診断士として独立、開業。同時に、慶應藤沢イノベーションビレッジでベンチャー支援活動を開始、近年は地方創生支援活動も実施中。並行して、流通関連での執筆活動を本格化し、TV出演、新聞、雑誌などへの寄稿、講演活動などを実施中。2020年よりYahoo!ニュース公式コメンテーター、2022年Yahoo!ニュースオーサーを兼務。主な著書「図解即戦力 小売業界」(技術評論社)。現在、東洋経済オンライン、ダイヤモンドDCSオンライン、ITmediaビジネスオンライン、ビジネス+ITなどで執筆、連載中。

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